3月5日、江東区亀戸中学校にて「講演会+デフサッカー・デフフットサル疑似体験会」を実施いたしました。
レプロ東京からは8名が運営スタッフとして参加し、感染対策を行いながら中学生との交流を楽しみました。
まず1校時は、代表理事の伊賀﨑から中学生に向けて講演を行いました。
聞こえない時にどのようなコミュニケーション手段があるかといったことや、デフリンピックについて中学生に伝えました。
途中で中学生が発言する場面もあり、非常に有意義な時間になりました。
講演の最後には、簡単な手話を中学生と一緒に学びました。
・おはよう
・こんにちは
・こんばんは
・ありがとう
・おつかれさまです
特に、「ありがとう」という手話は、デフサッカー・デフフットサル擬似体験会の際に中学生がよく使ってくれました。ろうや難聴の方とのコミュニケーション手段について、理解が深まったのではないかと思います。
2校時から6校時までは、クラスごとにデフサッカー・デフフットサル疑似体験会を行ってもらいました。
2校時はデフサッカー体験時だけ耳栓をしてもらっていたのですが、どうしても音のない世界が伝わりづらかったので、3校時以降は先生方のアドバイスも参考にし、最初の説明の段階から耳栓をしてもらいました。
- ジェスチャーゲーム
デフサッカー・デフフットサル体験会は、それぞれくじをひくところから始まりました。
耳栓をし、声を出さない状況で、同じ言葉が書かれた人を探します。
ジェスチャーでくじに書かれた単語を表現しようとするものの、なかなかうまくいかない場面も。3分という短い時間でコミュニケーションをとるのは難しかったと思いますが、みんな積極的に参加していました。 - 6人対3人のボール回し
次に、くじをもとに集まったメンバーで、ボールを使ったアクティビティを行いました。
6人で円になり、その真ん中に入った3人が鬼となります。
6人で回しているボールをとることができた鬼は、交代することができます。
音がない状態でも、ボールを回しながら楽しくゲームをすることができました。 - デフサッカー・デフフットサル疑似体験
最後にいよいよメインイベント。
スライドを使ったり、旗の動きで合図をしたりと、音のない世界を再現しながら行いました。
音がない中でプレーをするのは難しい場面もあったかと思いますが、チームで協力して楽しむ様子が見られました。ゴールキーパーは、レプロ東京メンバーが務めました。
終わった後の振り返りでは、
「コミュニケーションをとるのが難しかった」
「耳が聞こえない中でプレーしているのはすごいと思った」
「音があることの幸せを感じた」
など、中学生から多くの感想をいただきました。
また、レプロ東京メンバーにとっても貴重な機会となりました。
参加してくださった亀戸中学校のみなさん、開催にあたって携わってくださった先生方、ありがとうございました。
亀戸中学校様コメント:
今回の講演会、体験会を通して、生徒たちは音のない世界での意思疎通の方法とその難しさを学ぶことができました。さらに普段の生活でできる耳に障がいをもつ方へのサポートについて考えることができました。
貴重な機会をいただきありがとうございました。
伊林先生コメント:
教師として感じたことは伊賀崎さんの講演会からあります。子供達にとって自分たちの知らない世界を体験するのはどうしてもとっつきにくくなるところですが、蚊に刺されてしまうこと、セミの鳴き声が聞こえないなどの体験を序盤に笑ってもいいよという雰囲気で話をしてくれました。
同じ文章をシリアスな雰囲気で語るのと砕けて笑ってくれるのとでは後の体験学習で、レプロ東京のスタッフとの接し方が変わってくるポイントだったなと思いました。生徒達はあの場面で【話しやすいスタッフの人達】になっていました。
体験学習では生徒が耳栓をした状態でもレプロ東京のスタッフ陣が旗を使ってシグナルを示してくださり、またジェスチャーを使って誘導や説明を積極的に行ってくれたので生徒を安心して任せ、さらには貴重な経験を積ませてくれる実践だなと思いました。
メニューの内容はジェスチャーゲーム、ミニゲームはそれぞれにコミュニケーション能力や判断力を向上し、音のない世界を実感できるものだったと思います。ただ6対3は子供達の様子を見ていると、音のない世界を実感する前に運動ゲームになってしまった感はありました。
しかし、総合的に見て生徒達は本当に積極的に取り組んでおり、それはレプロ東京のスタッフ陣が細かいところまで気を配りながら試行錯誤してプログラムを実践してくれたからです。そして、それは教師陣にも生徒達にもしっかりと伝わっていました。
生徒達に講演会をしてから体験学習という流れは素晴らしいプログラムだったと思います。教員という立場ですと、素晴らしい体験学習を学校で実践していただいた感謝の言葉しかありません。
ありがとうございました。
飯野選手コメント:
今回、初めてデフサッカー・デフフットサル疑似体験に参加させていただき、自分たちが伝えたいことを伝える難しさを感じました。
特に音が聞こえなくなり、声で伝えられない分、伝える側の工夫が必要でした。また、普段の生活では馴染みのないサッカーをプレーする要素を取り入れることで音のない世界に集中できないのではないかといった懸念もありました。
そんな中で回数を重ねるごとに、デフサッカー・デフフットサル疑似体験の際の注意点を明確にしたり、自分たちレプロ東京側も一緒にプレーする等の工夫を重ね、最後には満足のいく内容になったと思います。
今回の経験をこれからのデフサッカー・デフフットサル疑似体験へ役立て、より良い体験会ができるようにしていきたいです。
伊賀﨑代表理事コメント:
「講演会+デフサッカー・デフフットサル疑似体験会」の開催を実現するにあたり、伊林先生をはじめ、亀戸中学校の先生方の多大なるご理解ご協力のおかげであること、心より感謝申し上げます。
どのように教えたらいいのか。伝えたいことは何なのか。
簡単なようでいて実は難しいことを今回の機会を通じて痛感しました。同時に生徒のみなさんや先生方から多くのことを学ばせていただきました。今回の経験を次に活かしていき、レプロ東京の教育的価値を高められるよう精進してまいります。
学校機関に「音のない世界」のプログラムを提供・指導することは我々にとっても長年の願いでもありました。生徒のみなさんに教えるという機会をいただいたことは貴重な経験となり、改めてレプロ東京を代表して心よりお礼申し上げます。
ありがとうございました。
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